Archive | 1.オールハザードBCP RSS feed for this section

オールハザードBCP(2)

さて、前項に続いてオールハザードBCPマニュアルに必要な項目を考えてみましょう。前項では、経営者が災害発生時に何を心配するか?を考えてみました。弊社の経験では、大きく3つの心配事があることがわかっています。 (1)社員は無事か? (2)すぐに対応すべきことは? (3)明日仕事ができるか? 災害対策本部の仕事の定義は諸説あると思いますが、経営者の心配はイコール会社の仕事でもあります。この3つの心配に対応するための方法論を考えなければなりません。 それでは、より具体的な各論に入っていきます。どのような災害対策マニュアル・BCPマニュアルにも必ず書かれている文言があります。いわく「被害情報を収集する」。お客様のマニュアルでこの文言を拝見したときに、必ずお訊きする内容があります。「集める情報の項目は決まっていますか?それは帳票としてまとまっていますか?それは誰が集めるのか決めていますか?どのようにいつまでに集めますか?集めた結果をどのようにサマリして社長にご覧に入れるのですか?」 実はこの部分が災害対策本部あるいはBCPマニュアルを策定する上でもっとも重要な部分です。災害対策本部が単純に「被害情報」をまとめても、多くの場合そのままでは役に立ちません。経営者の視点から見て、「製造に必要な生産機械が破損した」ことと「会社の応接室の花瓶が倒れて割れた」ことが同列ではないことは当たり前と言えます。起こった被害には自社の業務へのインパクト、生命への危険性、明日の仕事をする上での重要性などの観点から緊急性と重要性の2点で対応の優先劣後を決める必要があります。 この観点から、オールハザードBCPに必要な情報を、まず定義してみましょう。   (1)社員は無事か? 現在では災害時に安否確認システムを利用することが一般的になってきています。ただし社員が安全であることを確認するだけではBCPとして不十分です。仮に社員本人が負傷していなくても、家族や家の状況によって明日仕事ができるかどうかはわかりません。そこで単純に本人の安否情報だけではなく、家族の負傷あるいは家の被災、公共交通機関の利用が可能かどうか、つまり出社の可否を併せて調べなければなりません。 (2)すぐに対応すべきことは? 災害による被害は、重大なものと軽微なもの、すぐに対応が必要な緊急性の高いものと低いものに分けられます。社員の生命や生産財などに大きな被害をもたらす事象への対応とそれ以外の被害情報が、パッと見てすぐわかるようにまとめられるような工夫が必要です。 (3)明日仕事ができるか? 実は上の2つだけでは情報が不足しています。被害情報を集めただけでは、明日仕事ができるかどうかは、すぐに経営者は判断できません。例えば、30人の社員が所属する部署があったとします。この部署の社員が被災して15人が明日出社できないと判明したとします。さて明日の仕事の稼働率は何%でしょうか? 半分の出社率なので「50%」と答えたくなりますが、実のところ業務の内容によって稼働率は大きく変動します。たとえば 業務効率に影響の大きい熟練者が多く休むのかどうか、あるいは、その業務に必要な法定の資格者が出社できるのかどうかで大きく稼働率は変わってくるのです(法定の資格者がいない場合はゼロパーセントとなる可能性もあります)。この稼働レベルは、事前に業務を調査して稼働レベルを定義したうえで、調査・報告する必要があります。 さて、このようにオールハザードBCPを策定する上では、単純に被害情報の収集だけではなく、「その被害が自社にとってどのような意味があるのか?」を含めてサマリー、経営者に報告する必要があるのです。

Leave a comment Continue Reading →

オールハザードBCP(1)危機発生時に経営者が心配すること

「想定外のないBCP」を策定するためには、すべてのハザード(危機)に対応することが可能である対策を作っておく必要があります。本当にそんなことが可能なのでしょうか? ここでひとつの思考実験をしてみましょう。仮に大災害が起こってある会社が被災したとします。その被災した会社の経営者は、まず何を心配するでしょうか? 弊社では、実際にプロジェクトでご支援した経験から、発災時に経営者が心配することは大きく3つのカテゴリーに分けられると考えています。                   (1)社員は無事か? おそらく真っ先に、社内での怪我人や、社員の家や家族が被災していないかを心配されるはずです。人としての心配はもちろんのこと、経営者としては社員がいなければ組織としての統制が取れなくなることは誰の目にも明らかです。 (2)すぐに対応すべきことは? そして次に、地震の影響で発生する津波、火災、建物の被害、危険物・爆発物の安全、などが経営者の脳裏をよぎり、人命保護や資産保全のために何がなされているかを知りたいはずです。 (3)明日仕事ができるか? 当面の安全確保や資産保護と並んで、すぐにお客様のことを考えるはずです。納期の近いお客様は誰か、在庫は無事か、明日もサービス要員はお客様の社屋へ行くことができるのか、などです。 こうしてみると、災害対策本部は、これらの経営者の心配に応えるための活動を組み込んでおかなければなりません。日頃の準備をしておくことが重要と言えます。では具体的にはどのようなアクション・プランを考え、どのようなBCPマニュアルを準備しておくのが良いでしょうか?    

Leave a comment Continue Reading →

概要:オールハザードBCP

従来の災害対策・BCPは、地震・火災・事故・新型インフルエンザ・テロなど、ケース別に被害想定を作り、その被害にどう対処するか?という視点で策定されることがよくありました。 個別の災害に対応するBCPマニュアルが出来る、というメリットはあるのですが、どちらかというと最近ではデメリットが強調されることが増えています。たとえば次のようなデメリットが考えられます。 ケース別にBCPマニュアルが増えていくので、理解・学習することが難しく、同様に訓練も困難である。 ケースが多くなると、各種の役割をおこなう担当者が、とっさに自分のアクションを行うことが困難になる。 被害想定が想定の範囲外になるとまったく役に立たない対応プランになってしまう危険性がある。 なるほどケース別に用意されているBCPマニュアルがあればパッと見てわかりやすいでしょう。しかし対応したい事案にマニュアルが用意されていなかったら、どうしたら良いのでしょうか?このようなデメリットを解消するためにはどのような対応策を準備すれば良いのでしょうか? この項では、オール・ハザード対応のプランの作り方を紹介します。    

Leave a comment Continue Reading →